2021/01/29 11:25

はじめまして

革製品に魅せられた人間の一人、FudaoStore店長です。
本記事では、誰しもが一度はみたことあるであろう革製品、牛の革について解説していきたいと思います。

本記事を最後までしっかりと読み込めば、牛革についての知識が身につき、ちょっと気になる“意中のあの人”の前で披露することで、興味を持ってもらえること間違いなしです!
※革製品が好きな人限定ですが。。。

たとえ意中の方が“今は”いなくても、これをお読みになる読者様の今後の革ライフの手助けになれば幸いです。



※本記事の内容の無断転載等はご遠慮ください

革と皮

”革”というものは”皮”から作られるものです。
※感覚的には某カードゲームでいうところの生贄召喚

あたりまえですが、革の原材料は素材となる動物の”皮”(以降は原皮)です。その皮に鞣し(なめし)という処理をしたものを”革”と呼びます。

革は自然素材であるため、人と同じく1枚1枚それぞれに個性があり、全く同じものは存在しないのです。

天然の皮はバラ傷(動物が生きていた時にできた傷)や血筋などが存在します。一見加工ミスのようにも見えますが、これがあることで天然の皮であるとの証明にもなります。
※ブランドごとの加工方法により、バラ傷がや血筋がある部分を除きキレイな部分のみを使用しているところも多い。


牛革の特徴

数ある革製品の中で、最も有名な物が「牛革」です。

牛革は原材料となる皮の繊維が均等になりやすく、皮自体も丈夫であるため、長く使い続けることで持ち主のライフスタイルが反映されていきます。そのため、革製品の魅力の一つである「経年劣化」が非常に楽しめるのです。

変化の仕方は革の加工の仕方、色、使用する原皮の種類によって異なり、日焼けや手の皮脂、擦れの度合いによっても変わっていきます。使い込むごとに色艶が増し、自分の手に、身体に馴染み、自分色に染まっていく姿は非常に美しいです。

牛革は一般的に、肉牛(食用の牛)の皮を使用しており、それもあり流通量は革の中で最も多く、加工のしやすさから、牛革以外の革に見えるように加工されることも多いです。
※エンボス加工ともいい、製品表記にエンボスレザーと書かれている場合はこれにあたる。
※世界で飼育されている牛の数は約 14 億頭

牛革の種類(簡単)

牛革は、牛の年齢、性別、部位、品種等により様々な呼び名があり、性質も異なります。年齢が若いほど柔らかく、歳を重ねるごとに硬く丈夫になるため、使用する目的ごとに最適な革が使用されます。また牛革は基本的に食用の肉牛を加工するまでの過程で発生するものであるため、革のためだけに繁殖させられることがほぼありません。食肉に加工するタイミングは生産国の地域性や文化によって異なるため、生産国の文化を理解することで、さらに牛革を楽しむことができます。
※主な革の原産国:オーストラリア、カナダ、フランス、イタリア等
※牛は約2~3年ほどで成体となる

牛革の種類や定義を簡単にまとめると下記のように分類されます。
なお『カーフスキン』や『ブルハイド』といった牛革の名称は
”年齢による名称+サイズによる名称”で表記されます。
※詳細は後述するもので確認してください。

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牛革の種類(詳細)

ハラコ ( ほとんど出回らない )
胎児〜生後間もない仔牛から作られる革です。ほとんどの場合、出産前後にしんでしまった仔牛から作られます。

小さな仔牛から採れる皮は非常に少ないこともあり、市場に出回ることはとても少なく、希少価値が高い高級品です。
※ハラコと書かれていてもポニーの皮を使用していることもあるので要確認
※回転寿司でマグロの赤身と書いてて、実はアカマンボウみたいなもんです

ハラコの特徴は、まだ未熟な薄い皮膚を短い毛が覆っており、まるで表皮と一体化しているような美しい毛並みも備えていることにあります。これにより、独特な革製品が仕上がるのです。

また、未熟な皮膚を使っていることにより、傷や汚れに弱く、本当に大事にしてしまいたくなる、か弱い存在でもあります。赤子のように大事にしてあげましょう。


カーフスキン ( 仔牛皮で最高級 )
生後6ヶ月以内の仔牛から作られる革です。繊維構造が細かく、肉眼から見てもわかるほど柔らかさを持った薄い素材となっています。

その表面(銀面ともいう)はとても手触りが良く、見た目の美しさもあり、牛革の中でも特に上質な素材とされています。
※ハイブランドで使用されることが多い
※採れた時の皮の重量や、加工法によって名称が変わることもあるため、別途記事で解説します。

こちらも成熟していない皮を使っていることにより、傷や汚れに弱く、か弱い存在です。赤子のように大事にしてあげましょう。

キップスキン ( カーフより少し厚手な高級皮 )
雄雌関係なく、生後6ヶ月~2年程度の牛から作られる革です。繊維構造がカーフに比べて密度があり、厚みを持っているが、成牛前の若い牛であるため柔らかな肌触り、美しい銀面を持っています。
※ハイブランドでも使用される

ある程度成長した、成牛前の皮であるため丈夫ですが、まだまだ傷に強いわけではないため、子供のように大事にしてあげましょう。


カウハイド ( 柔らかさと丈夫さを併せ持つメス牛の皮 )
生後2年以上で、出産経験のあるメスの成牛から作られる革です。
オスの成牛と比べて、繊細さと丈夫さを兼ね備えた素材であるため、薄く柔らかい革に仕上がります。

出産経験により、腹周辺は繊維が伸びてしまい、ゆるくなっている場合があるため、多くは肩から背中を革に加工します。
※採れた時の皮の重量によって名称が変わることもあるため、別途記事で解説します。

成熟した出産経験も経た立派なメスの成牛の皮ですが、繊細なため、自分の母親のように敬愛し、大事にしてあげましょう。


カルビン(上質なメス牛の革)
生後2年以上で、出産経験のないメスの成牛から作られる革です。
カウよりも上質で、成牛革では最も上質とされています。

出産経験はないですが、成熟した立派なメスの成牛の皮なので、嫁入り前の娘のように溺愛し、大事に大事にしてあげましょう。

ステアハイド ( 一般的で広く使われているオス牛の革 )
生後3〜6ヶ月以内に去勢され、生後2年以上経ったオスの成牛から作られる革です。
最大の特徴は、繊維もしっかりとしており、肉厚でありつつ均等な厚みをもち、とても丈夫であること。

食用の肉牛から採られるため、流通量が多く、品質も安定しやすいため、美しさと耐久性のバランスがとれた革に仕上がり、日常のさまざまな製品に使用されています。

去勢されて育てられているため、去勢されたオス牛と比べても柔らく、喧嘩が少ない環境で育つため、傷も少ないまま成長することが多いです。

※採れた時の皮の重量によって名称が変わることもあるため、別途記事で解説します。

闘争心は少なくとも、心穏やかに過ごしてきた身体の大きい立派な偉丈夫のような成牛の皮なので、長く付き合う親友のように大事にしてあげましょう。

ブルハイド ( 最も厚く、強度のあるオス牛の革 )
生後2年以上で、去勢されていないオスの成牛から作られる革です。
牛革の中で、最も堅く丈夫ですが、柔軟性はあまりないため、耐久性を求められる靴やベルトに使用されます。

去勢されていないため、喧嘩の多い環境で育つこともあり、傷やシワ、シボが大きいのも特徴的です。

闘争心溢れるワイルドなオスの成牛の皮なので、心から信頼できる頼もしい相棒のように、大事にしてあげましょう。

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部位や加工法については、他記事にて解説いたしますので、楽しみにお待ちいただけたら幸いです。